むかしむかし、ある商人がネコを飼っていました。

　お正月が近づいたので、商人の家で働いている小僧さんたちが餅をつき始めました。

　餅の大好きなネコは、うれしくてたまりません。

(よしよし、お正月には餅をたっぷり食べさせてもらえるぞ)

　餅つきの次の日は、天気が良いのですす払い(→掃除)をする事になりました。

　ネコは邪魔になるといけないと思い、外に出て家の屋根に登りました。

　すると、長(zhǎng)いささぼうきを持った小僧さんが出て來(lái)て、

「今から屋根の掃除をするから、家の中へ入っていろ」

と、言うのです。

　ネコが慌てて家の中へ入ろうとすると、今度は主人が言いました。

「お前にウロウロされてはすす払いが出來(lái)ないから、外へ出ていろ」

　さて、ネコは困りました。

　外へ出れば小僧さんに、

「中へ入っていろ」

と、言われるし、中へ入ろうとすると主人に、

「外へ出ていろ」

と、叱られます。

（一體、どこにいればいいんだ？）

　ネコは仕方なくはしごを伝って、天井裏(てんじょううら)へ登って行きました。

　するとそこにはネズミたちが集まっていて、下の騒ぎは自分たちを追い出す為だと思い込み、おびえた顔をしていたのです。

　そしてネコを見ると、ネズミの親分が言いました。

「こうなっては仕方がない。みんな、覚悟を決めて戦うぞ」

　ところがネコはネズミに飛びつくところか、親分の前に行って頭を下げました。

「待ってくれ。今日は、お前たちを食う為に來(lái)たんじゃない。何もしないから、今日一日ここへ置いてくれ」

「それはまた、どういうわけだ？」

「実は家のすす払いで、わしのいるところがないのだ。どこへ行っても邪魔者扱いで、くやしいったらありゃしない」

「それじゃ、下の騒ぎはおれたちを追い出す訳ではないのだな」

「ああ、いくらすす払いと言っても、こんな天井裏まで掃除する人間はおらん。だから安心するがいい」

「何だ、そうだったのか」

　ネズミたちはホッとして、お互いに顔を見合わせました。

　そしてネズミの親分が、急に威張った態(tài)度で言いました。

「今日一日、ここに置いてやってもいいぞ。だが家賃(やちん)の代わりに、お前さんの足の爪と牙を殘らず渡してくれ」

「何だって！　爪と牙はネコの大切な武器だぞ！」

「嫌なら、すぐにここから出て行ってくれ。家賃も払わずにここにいるつもりなら、わしらにも覚悟がある。ここにいるみんなが死ぬ気でかかれば、お前さんを倒す事も出來(lái)るだろう」

　それを聞いて、ネズミたちが一斉に立ち上がりました。

　確かにこれだけの數(shù)なら、ネコに勝ち目はありません。

「わかった。わかった。お前の言う通りにするよ」

　ネコは泣く泣く、爪と牙を抜いて親分の前に差し出しました。

「よし、確かに家賃は受け取った。今日一日、ここでゆっくり過(guò)ごすがいい。???ただし、どんな事があっても、わしらの體には指一本觸らないこと。と言っても、武器を無(wú)くしたお前さんなんて、怖くないがね」

　やがて夕方になって、すす払いも終わったらしく、家の中が靜かになりました。

「では帰るよ。お世話になった」

　ネコは天井裏から降りると、家の中に入っていきました。

　すると小僧さんたちがネコを見つけて、つきたての餅を持って來(lái)てくれました。

「お前、餅が大好きだろ。さあ食べな」

　でもネコは牙が無(wú)くなってしまったので、餅どころかご飯も満足に食べれません。

（ふん、さんざん邪魔者にしておきながら、何を言うか）

　ネコは腹を立てて、こたつの中へ潛り込みました。

　するとそこへ、主人がやって來(lái)て、

「こら、何を?qū)嫟皮い搿￥挨膝庭亥撙孙灓蛉·椁欷胜敜?、しっかり番をしていろ?/p>

と、言って、ネコを臺(tái)所へ連れて行ったのです。

　ネコは仕方なく臺(tái)所に座って、むしろに広げられた餅をうらめしそうに見張っていました。

　さて、みんなが寢靜まった頃、急に天井裏が騒がしくなって、ネズミたちが親分を先頭にゾロゾロと降りてきました。

「さあ、みんな、餅をどんどん運(yùn)ぶのだ」

　親分は、ネコを見ても気にしません。

　ネコはたまりかねて言いました。

「おいおい、わしが見えないのか？　餅を持って行くと承知(しょうち)しないぞ」

　それを聞いて、親分が笑いました。

「承知しないと言っても、爪も牙もなくてどうするつもりだ？」

「それは、??????」

　ネコは、何も言い返す事が出來(lái)ません。

　悔しいけれど、ネズミたちが餅を運(yùn)ぶのを見ているより仕方ありませんでした。

「さあ、餅をどんどん運(yùn)ぶんだ」

　やがてすっかり餅を運(yùn)び終えた親分は、ネコを振り返って言いました。

「それじゃ、よいお正月を」

　さて次の朝、臺(tái)所にやって來(lái)た主人は餅がすっかり無(wú)くなっているのを見て、ネコを叱りつけました。

「この役立たず。ネコのくせに、ネズミの番もできないのか！」

　気の毒なネコは、泣きながら正月をおくる事をなりました。

　一方ネズミの方は餅をたらふく食べて、楽しい正月をおくったそうです。

おしまい