「ありがとう上手」に（善于感謝）

作者：みつはし　ちかこ

この前、友人と二人のバス旅行で、洞爺湖溫泉行きの長距離バスに乗っていた時のことである。バスはすいていたが、ちょうど學校の部活動の終わる頃だったのか、途中でいくつかの學校の生徒たちが乗り込んでは、一人ずつ下りていった。

（前段時間，我和朋友兩人一起乘長途公交去洞爺湖溫泉旅行時。公交上很空，但似乎正好是學校的社團活動結(jié)束的時候，途中乘上來了幾所學校的學生們，他們一個個地下車了。）

下りる時、皆何か一言運転手さんに言っては、下りていくのである。なんと言っているのだろうと耳を澄ますと、「ありがとうございました」だった。運転手さんも、その都度、「気を付けて」や、「どうも」などと返している。中學生の一人一人皆が、運転手さんに「ありがとうございました」と言って下りていくのである。この旅の先行きが爽やかになる思いだった。

（下車的時候，大家都對司機說了一句什么才下車的。他們說了什么呢？仔細一聽，是“謝謝”。司機也每次都回道“路上當心”或“謝謝”等。中學生的每個人都對司機說了“謝謝”之后才下車的。我覺得這次的旅行之后也會心情爽快。）

バスを下りる時に私達は、運転手さんに先ほどの中學生達の「ありがとう」に感心したことを言うと、「ずっとお互いに聲を掛け合っているからね。この辺じゃ當たり前のことなんだけどね?！工妊预Α￥饯窝匀~に、暖かくさりげない絆が感じられた。

（下公交的時候，我們對司機說了很贊佩方才中學生們說的“謝謝”，于是司機說：“我們一直互相打招呼的。在這附近是很平常的事?！蔽覐乃脑捴懈惺艿搅藴嘏执蠓阶匀坏牧b絆。）

私は、幼い頃から恥ずかしがり屋だったので、どうしても上手く「ありがとう」が言えずに大きくなってしまった。でも、色々な「ありがとう」を聞くうちに、この言葉の持つ不思議な力を思うようになった。気持ちの良い「ありがとう」を聞くたびに、自分も真似して言ってみたいと思った。

（我幼時起就很害羞，怎么都不能很好地說出“謝謝”，就這樣長大了。但是，在聽著各式各樣感謝的話語的時候，我覺得這個話語持有不可思議的力量。每次聽到令人舒適的“謝謝”時，自己也想模仿著說說看。）

タクシーを下りる時、「ありがとう」と言って代金を渡した先輩を見て、かっこいいなと思ったので、まずはその辺から試してみた。でも、慣れない私が、「ありがとう」と言うのは、どうも偉そうな感じがして気が引ける?！袱ⅳ辘趣Δ搐钉い蓼筏俊工扦?、丁寧すぎておかしい。思いきって、「どうもありがとう」と言ってみた。そうしたら、これが自分にちょうどよかった。それ以來、買い物した時も、「どうもありがとう」と言って代金を払う。勇気を出してあちこちで言ってみるようにしたら、段々さりげなく言えるようになった。

（在下出租的時候，我看到前輩一邊說“謝謝”一邊付車費，覺得他很酷，于是我首先想從這方面試試。然而，說不習慣的我，說“謝謝”時總有種自大的感覺，有些不好意思。說“謝謝您”的話，太過客氣，有些奇怪。于是斷然道“多謝”。然后我覺得自己很適合這種說法。此后，我買東西的時候，也邊說“多謝”邊付錢。我鼓起勇氣試著在各處說了之后，漸漸能大方自然地說出來了。）

思えば、私達は毎日沢山の様々な人に守られ、助けられ、支えられて生きている。でも、私はそれを當たり前として受け流しているんじゃないかということに気付いた。いちいちお禮なんか言わないし、お金を払っているからとか、仕事なんだからとか、當然だと思っていた。私は、日頃言いそびれていた「ありがとう」に気付いた時、素直に言葉にして伝えたいと思った。

（想起來，我們每天生活著被眾多的人所守護、幫助、支撐。但是，我意識到自己將此當成是理所當然的事敷衍過去。沒有一一感謝，因為是付了錢的，因為是工作，認為是理所當然的。我意識到自己平日里沒能說出的“謝謝”的時候，想要坦率地傳達出感謝。）

例えば、デパートなどでトイレを使わせてもらった時、掃除の人とすれ違っても、なかなか「ありがとうございました」とは言えない。でも、私達の気付かないところで、皆のために一生懸命仕事をしてくれている人達にこそ、言いたいと思う。相手に一言感謝の気持ちを伝えることだけで、自分も晴れやかで安心した気持ちになってくる。

（例如，在商場等地方使用了廁所的時候，和打掃的人擦肩而過時，怎么都說不出“謝謝”。但是，我想要對在我們注意不到的地方，為了大家拼命工作的人們說感謝。只是向?qū)Ψ絺鬟_了一聲感謝，自己也會心情愉悅，感到放心。）

私は、「ありがとう上手」になりたいと思った。心を込めて「ありがとう」を言っているうちに、人見知りの私にも、いつの間にか友達がいっぱい増えてきた。生きることが時々辛くて息切れする時には、身の回りの自然にも「ありがとう」と聲をかけてみる。そうすると心が落ち著き、大丈夫という気持ちになってくる。今では、私にとって、「ありがとう」が安らぎと勇気を與えてくれる言葉になっている。

（我想要變得善于傳達感謝。在誠心誠意地說“謝謝”的時候，漸漸的，就連怕生的我也在不知不覺間朋友變多了?；钪臅r候有時會痛苦到喘不過氣的時候，也試著對身邊的自然說感謝。如此一來，我會安下心來，漸漸覺得沒問題?，F(xiàn)在，對我來說，“謝謝”是給予我安穩(wěn)與勇氣的話語。）